ディフェンシブ銘柄とディフェンシブ銘柄が多いセクター

ディフェンシブ銘柄ってなんでしょう?

ちょっとまとめてみました。

ディフェンシブ銘柄の特徴

ディフェンシブ銘柄とは株式市場がどのような状況でも安定した利益を出す銘柄のことを指します。つまり不景気のときにおいても安定的な利益を出す企業であるということです。

景気には景気循環(経済全体の活動水準である景気において、循環的に見られる変動のこと)というものがあります。景気循環には主に拡大期と後退期があります。ディフェンシブ銘柄は景気循環の後退期には株式市場全体と比較したときいいパフォーマンス(アウトパフォーム)を出しますが、拡大期にはあまりいいパフェ―マンス(アンダーパフォーム)はでない傾向があります。

一般的にディフェンシブ銘柄のβ値は1未満であることが多いです。例えば、β値が0.5のディフェンシブ銘柄はS&P500が50%下落したとしても下落率は25%にとどまるということです。裏を返せば、S&P500が50%上昇してもディフェンシブ銘柄は25%の上昇にとどまります。

このような特性があるため、ディフェンシブ銘柄は景気循環の後退期にはアウトパフォームし、拡大期にはアンダーパフォームします。

ディフェンシブ銘柄が多いセクター

一般的にセクター単位にディフェンシブかどうか判断されることが多いです。GICSのセクター分類においてJPモルガン、INVESTOPEDIAどのセクターをディフェンシブと言っているかをまとめてみました。〇が付いているセクターがディフェンシブなセクターを表しています。

セクターJPモルガンINVESTOPEDIA
生活必需品
ヘルスケア
資本財  
エネルギー  
素材  
一般消費財  
電気通信 
金融  
情報技術  
公益事業
不動産

一般的にディフェンシブ銘柄は低β値であると言いましたが、実際にはどうなのかを確認すると以下のようになりました(以降β値は2018年10月7日時点の値です)。

セクター平均β値β値が1以下か
公益事業0.25
不動産0.56
生活必需品0.63
ヘルスケア0.95
一般消費財0.99
資本財1.06×
電気通信1.08×
エネルギー1.12×
金融1.14×
情報技術1.16×
素材1.27×

上表からβ値が1以下なのは公益事業、不動産、生活必需品、ヘルスケア、一般消費財だと分かります。しかし、ヘルスケア、一般消費財は1以下であるとはいえ、0.95以上なのでディフェンシブとみなさないとすると、基本的にはディフェンシブなセクターは公益事業、不動産、生活必需品と見るべきかなと思います。

JPモルガンまたはINVESTOPEDIAがディフェンシブなセクターとしているヘルスケア、電気通信について少し補足しておきます。

ヘルスケアセクター

ヘルスケアセクターは基本的には不景気な局面でも人々が生きていく上で必要なものであることから、ディフェンシブなセクターと考えられてきていました。しかし、最近はジェネリック医薬品との競争、薬価規制やブロックバスターの開発のリスクなどからかつてほどディフェンシブなセクターとみなされないときもあります。ちなみにブロックバスターとは年間売り上げ10億ドル以上の医薬品のことです。10億ドル以上の売り上げる医薬品の開発は博打的な要素も高いです。

更に細かく見ると産業が「ヘルスケアプロバイダー・サービス」、「ヘルスケア機器・用品」などはβ値が共に0.87と低β値であるということが分かると思います。一般的にはセクター単位でディフェンシブかどうかを判断されることが多いですが、事業特性からディフェンシブかどうかを判断するのは「産業」のレベルで見た方が正確性が高いですね。

産業平均β値
ヘルスケア機器・用品0.87
ヘルスケアプロバイダー・サービス0.87
ヘルスケアテクノロジー0.93
医薬品1.00
ライフサイエンスツール・サービス1.03
バイオテクノロジー1.19

電気通信

現在のβ値は1.08となっています。「あれっ」と思われた人もいるかもしれません。GICSの分類に関して少し変更があり、従来の分類では電気通信銘柄は少なく(AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズ)で、低β値でしたが、新しい分類では従来情報技術セクターの銘柄が電気通信に引っ越してきたため、高β値なセクターになってしまっています。従来電気通信セクターに所属していたAT&Tやベライゾン・コミュニケーションズのβ値はそれぞれ0.39、0.7と低β値です。

GICSについてはこちらの記事で説明しています。

まとめ

  • ディフェンシブ銘柄とは不景気のときにおいても安定的な利益を出す銘柄である
  • ディフェンシブ銘柄は一般的には低β値の銘柄である
  • 一般的にセクター単位にディフェンシブかどうか判断されることが多い
  • ディフェンシブ銘柄が多いセクターは公益事業、不動産、生活必需品である
    • 従来ヘルスケアセクターの銘柄はディフェンシブ銘柄と考えられていたが、最近は違う場合がある
    • 従来電気通史セクターの銘柄はディフェンシブ銘柄だったが、GICSの分類変更でディフェンシブ銘柄だけではないので注意が必要である
  • 事業特性からディフェンシブかどうかを判断するのは「セクター」ではなく「産業」のレベルで見た方が正確性が高い

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