マージン・デット(証拠金債務)はバブル崩壊の指標になるか

最近の私の中で気になっているのは、今のアメリカ株の市場がいつ下落傾向に突入するかです。
(参考:VIX指数(恐怖指数)で買い時を判断できるか?

現在の個別の銘柄の指標を見ていると割安ではないけれども、特にバブル期のような割高になっているとは思っていません。

ただ、ずっと強気相場が続いているので、どこかで一時的に下落傾向に入ってもおかしくないと思っています。

そして今年に入って以下の記事が私の目にとまるようになってきたので、いつ相場が反転するかを気にするようになってきました。

マージン・デット(証拠金債務)とは

上記の記事で出てくるマージン・デットとはNYSE(ニューヨーク証券取引所)が公表している株式のマージン・デットのことを指します。マージン・デット(証拠金債務、英語:Margin Debt)とは、投資家が株を購入するために、銀行などの金融機関から借りる借金です。
簡単に言うと、信用取引の残高ですね。

NYSEの株式のマージン・デットはどこで公開されているか

NYSEの株式のマージン・デットは以下で公開されています。

本記事を書いている時点(2014年8月17日)で2014年6月までしか公開されていないので、2か月遅れでの公開と思われます。

マージン・デットが注目される理由

マージン・デットが注目される理由としては、最近あった以下の2つの暴落の直前にマージン・デットは最高値を付け、その数ヵ月後に、株価の暴落とともにマージン・デットが縮小しており、相関が強いように見えているからです。

  • 2000年のITバブル崩壊
  • 2008年のサブプライムショック

そして、2014年の2月にマージン・デットがピークをうったので、下落するのではと言われているのです。

マージン・デットと株価の関係

本当にマージン・デットと株価に関係はあるのでしょうか?マージン・デットと株価のS&P500の指数との関係は以下の通りです。

Margin debtとS&P500のグラフ(1959年から2014年6月)

尺が大きすぎて連動しているのが分かりにくいので、1959年1月から1985年12月までと、1986年1月から2014年6月までで分離してみました。まずは1959年1月から1985年12月です。

1959年から1985年までのMargin debtとS&P500のグラフ

次は1986年1月から2014年6月です。

1986年から2014年6月までのMargin debtとS&P500のグラフ

こうしてみると、マージン・デットと株価は連動していますね。

※ ただのとおりすがりさんから対数グラフにした方がよいとコメントを受けたので、そのグラフも掲載します。確かに対数表示の方が適切です。ただのとおりすがりさん、コメントありがとうございます。

Margin debtとS&P500の対数グラフ

証拠金の借り入れの利用目的は基本的に以下の2通りが考えられますが、株価に連動していることから、株式の上昇を見込んだ投資での利用に使われていることが分かります。

  • 株式の上昇を見込んだ投資での利用
  • 株式の下落を見込んだ投資での利用

どうして、これほどきれいにマージン・デットと株価が連動するのか?

ではどうして、これほどきれいにマージン・デットと株価が連動するのでしょうか?

ここからは推測でしかありませんが、以下のような流れなのかなと思っています。

  1. 市場を楽観が支配する。
  2. 借金をして株式を買う。
  3. 異常に株価が上昇する。
  4. 株式にとってマイナスの要因となる事象が発生する。
  5. リスク回避のため、株式を売る。
  6. 狼狽売りする。

特に4、5が重要で、信用取引で株式を買っているため、追証リスクがあります。

そのため、通常の取引では注視されないようなマイナス要因の事象でも、リスク回避のため売られ、株価が下落し、売りが売りを誘い、暴落につながるのではないかと思います。

その場合、マージン・デットが急上昇した時に高騰した銘柄が一番影響を受ける(つまり下落幅が大きい)と思います。

いつ暴落するのか?

上記までで連動していることは分かりました。そして、マージン・デットがかなり積み上がっていて、いつ減少に転じてもおかしくありません。

そのため、今年前半にマージン・デットが減少し始めたことを受け、相場が反転するかもしれないということが言われました。

しかし、2014年6月のマージン・デットを見ると増加しています。

それではいつ暴落するのでしょうか?

先に紹介したグラフにトレンドラインを引いてみました。通常のトレンドラインとはちょっと違いますが・・・

そうするとマージン・デットが$480,000あたりに達してから、下落に転じるように見えます。

マージン・デットが順調に$480,000のラインに達するのはあと1~2ヶ月後ちょうど今頃、暴落は7~8ヶ月後6~7ヶ月後といったところでしょうか?
※ 2014/8/24修正:マージン・デットが6月末までのデータということを考慮してなかったので、修正。
株式投資で予測ほど当てにならないものはありませんが、参考になればと思います。
投資は自己責任でお願いします。

コメント

  1. ただのとおりすがり より:

    こんばんは、時々来ています。
    株価の推移=企業の成長度合い、と考えておりますのでグラフを対数グラフで見せていただけないでしょうか。

    • てく より:

      ただのとおりすがりさん、コメントありがとうございます。確かに対数グラフの方が適切ですね。
      コメントを反映して、記事内に対数グラフを掲載しました。グラフがさらに分かりやすくなりました。ご指摘ありがとうございました。

  2. 匿名 より:

    どうも、雪だるまです
    株価上昇中のMデットは気にして見てました
    2月と同様程度6月につけて約三ヵ月後の9月19日頃ダウにヒンデンブルグ・オーメンが点灯し下落しましたね
    そして8月にも同程度に 11月、中間選挙後あたりにもう一度↑がきて急落するか否か注目してます
    テーパリング終了や利上げ時期報道など、市場が過敏になる材料満載の秋なので楽しみですw

    • てく より:

      はじめまして、雪だるまさん。
      7、8月とマージン・デットは上昇してますね。テーパリング終了で下がってほしいですが、コンセンサスが得られてるので、さほど影響なさそうですね。
      先々週にあった下落はまだまだちっちゃいので、もっと暴落と言えるくらい大きな波が来るのを楽しみにしてます(^^ゞ

      今後ともよろしくお願いいたします。

  3. クーマン より:

    初めまして。
    2015年3月のマージン・デットは、2014年2月の値を更新しましたね。

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