以下の記事を読むと、アメリカ株をあまりやっていない人から見ると「なぜ日本株は増配をあまりしないのに、アメリカ株は毎年増配し続けられるの?」と疑問に思うかもしれません。
そこで、アメリカ株が毎年増配できる理由を少し探ってみたいと思います。
ちょっと調べてみれば分かると思いますが、基本的に直近10年を見ると、アメリカの企業は純利益を増加させています。つまり、増配できる余地があるということです。
「はい、終わり」となってしまいます。
それでは面白くないですね。純利益があまり増加していないが、増配をしている企業もあります。そこにフォーカスしてなぜ増配できるかを探っていきたいと思います。
まずは長期投資においてよく聞かれるPER、EPS等について説明したいと思います。
「バカにするな!」と怒らないでくださいね。
- PER(株価収益率)
「株価 ÷ 一株当たり当期純利益(EPS)」で表され、割安度合いの目安とされます。
アメリカでは「P/E」、「PE」と表現されるので注意してくださいね。 - EPS(一株当たり当期純利益)
「当期純利益 ÷ 発行済株式数」で表されます。 - 配当性向
「1株当たり配当額 ÷ 1株当たり当期純利益 × 100」で表されます。
以下のような仮定のもと、どうして増配できるかを見ていきたいと思います。
初年度の発行済株式数 | 5,000,000,000 |
当期純利益(通年) | 4,500,000,000 |
PER(通年) | 15 |
配当性向 | 30.0% |
純利益に対する自社株買い比率(%) | 40.0% |
上記の仮定を置くと、以下について計算することができます。
- EPS = 当期純利益 ÷ 発行済み
- 株価 = PER × EPS
- 一株当りの配当金 = (当期純利益×配当性向) ÷ 発行済株式数
- 配当利回り = 一株当りの配当金 / 株価
- 自社株買い株式数 = (当期純利益 × 純利益に対する自社株買い比率(%)) ÷ 株価
上記の仮定で10年間、企業を運営した場合のEPSの成長率や配当利回りは以下の表のようになります。
どうですか?
純利益が一定であっても自社株買いを行うことで、EPSが2.7%増加し、配当が2.7%の増配しています。
このようにして、収益があまり増加していない企業も増配を続けることができるのです。
分かってしまえば、簡単なことですが、私は投資し始めたころはあまり分かっていませんでした(^^ゞ
上記のように各指標の関連を整理して、どうして増配に結びついているのか書いてある書籍とかあまりないんですよね。
ただし、上記のようなことができるのは、安定的に収益を上げていることが前提になります。
安定的に収益を上げられないと、自社株買いを継続するという決断はなかなかできず、内部留保ばかりすることになります。
また、設備投資の比率が高いハイテク、製造業などは収益を自社株買いに回しにくいという事情もあります。
アメリカの企業はどちらかというと安定的にキャッシュを生み出す仕組み作りに注力して、いかに株主に還元するかを長期の視点で実行しているように見えます。日本株は・・・そもそも株主をお財布のようにしか見ていないので、論外ですね。
ぜひ参考にしてください。
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