インカムゲイン(配当金)狙いの投資に向いた保有銘柄数の最適解の考え方

アメリカ株を始めてアメリカ株のポートフォリオを構築しようとしたとき、意外と悩むのが保有銘柄数はいくつくらいがいいのかという点です。

わたしは2017年11月12日時点で33銘柄保有しています。
他のアメリカ株をしている人よりも多い方かもしれません。

最初の方はアメリカ株における保有銘柄数における一般論を、最後にインカムゲイン(配当金)狙いの投資に向いた保有銘柄数の最適解についてのわたしなりの考え方をご紹介します。

株式投資における保有銘柄数は投資する人の置かれた環境、投資スタイル、リスク許容度、何を狙いにしているか(キャピタルゲインかインカムゲインか)や投資期間は何年を想定しているかなど、様々な要因によって変わってくると思いますので、そういう考え方もあるのかぁ程度に読んでいただければと思います。

保有銘柄数を決めるときに見なければいけないリスク

リスクというと会社員だと仕事でよくリスク管理、リスク管理と言われ、捉えどころのないリスクをどうすればと思われる人もいるかもしれません。日常の業務で使うリスクと投資におけるリスクは結構違っています。

仕事で使うリスクと株式投資におけるリスクの違い

仕事で使うリスクはほとんどの会社では定量化されていないと思います。適当にリスク大だとか中だとか言っているところがほとんどだと思います。

よくできているところでも以下のようにリスクの大きさを決めて管理しているくらいではないでしょうか?

リスクの大きさ = 発生したときの影響の大きさ × 発生確率

わたしが今まで見てきたところだとそんな感じです。

一方、株式投資においてリスクとは「収益のばらつき」を意味します。その「収益のばらつき」は計算可能で、「標準偏差」で表されます。

リスクの意味が「収益のばらつき」なので、リスク(標準偏差)が大きいほど、収益の変動(ボラティリティ)が大きいと言えます。リスクと聞くとどのくらい収益がマイナスになるかと考えるかもしれませんが、「収益のばらつき」なので、プラスに振れることもリスクととらえます。

保有銘柄数とリスク

保有銘柄数とリスクの関係を調査した結果が以下の表になります(だいぶ昔の論文からの引用です)。下表はたぶんランダムサンプリングで、リスクを算出しているものと思われます(論文にそこまで書いてなかったはずですが)。

保有銘柄数年間リスク(標準偏差)リスク減少率
149.24%1.00
237.36%0.76
429.69%0.60
626.64%0.54
824.98%0.51
1023.93%0.49
1223.20%0.47
1422.67%0.46
1622.26%0.45
1821.94%0.45
2021.68%0.44
2521.20%0.43
3020.87%0.42
4020.46%0.42
5020.20%0.41
10019.69%0.40
20019.42%0.39
30019.34%0.39
40019.29%0.39
50019.27%0.39
100019.21%0.39

上記の表の見方は、1銘柄を保有しているのみだと、1年間で収益が-49.24%から+49.24%の範囲に68.3%(1標準偏差)の確率で収まるということを表しています。

グラフにしてみると非常に分かりやすいので、上表をグラフにしたものが以下になります。

保有銘柄数と年間のリスクの関係

10銘柄まではリスクは急激に下がってますが、それ以降は穏やかに減少であることが分かると思います。最終的には20%のリスクに収れんされます。

保有銘柄数を増やしても必ず存在する20%のリスクはマーケットに参加している限り避けることのできないリスクで、マーケットリスクやシステマティックリスクと呼びます。

上記はランダムサンプリングと思われるので、グロース銘柄ばかり保有の場合、リスクはもう少し高くなることが推測されます。

手間とリスク

10銘柄を保有した時のリスクが23.93%、20銘柄を保有した時のリスクが21.68%です。つまり、保有銘柄数を10から20へと2倍に増やしてもリスクは2.25%しか下がりません。保有銘柄数が2倍ということは銘柄の確認等の作業が単純計算で2倍かかります。手間が2倍かかって2.25%のリスク軽減です。

例えば、株式投資に銘柄の確認等に10銘柄保有していたときに10時間かけていたとします。確認作業の質を落とさずに20銘柄を保有しようとした場合、20時間使うことになります。それだけ使って、2.25%のリスク軽減です。どう思いますか?わたしは割が合わないなぁと感じてしまいます。

上記の結果を踏まえると、アメリカ株投資で有名で且つ保有銘柄数も少ないバフェット太郎さんの10銘柄というのは決しておかしいものではないとわたしは思っています。

ちなみに、米国会社四季報の座談会でわたしが会っているからだと思いますが、バフェット太郎さんがどんな人なのかの問い合わせが多いです。1、2時間で人となりが分かる訳もありませんので、答える気はありませんので、問い合わせは止めてください。

話をもとに戻します。普通であれば、保有銘柄数が増えれば増えるほど、手間が増えるので、個人投資家、特に会社員の人がむやみに保有銘柄数を増やすのも考えものです。

わたしは手間とのバランスを考えて、10銘柄+αくらいでいいと思います。

ただし、上記のグラフを見ると20銘柄がいいと思われる人もいるかと思います。それは人それぞれ置かれた環境やリスク許容度が違うためです。ここは決めの話なので、正解はありません。念のため。

配当金を狙いの投資に向いた保有銘柄数と最適解

上記は一般論としてです。
ここからは、わたしの保有銘柄数の決め方をご紹介します。
特に以下のような投資スタイルの人に向けた保有銘柄数はどうしたらいいかを考えてみたいと思います。

  • 一度購入したら基本は売らない
  • 配当金で生活したい(わたしは定年後ですが)

保有銘柄数の上限

上記の投資スタイルを前提に置いた場合、先ほど20銘柄保有になると手間が倍という話はなくなります。売らないわけですから、常時確認する必要がないためです。売らないという方針の場合、保有数における手間の増加を気にしないという前提に立つことができます

ちなみにわたしは保有銘柄に関しては月一くらいで以下を確認しているくらいです。以下のリストの2つ目以降は「ポートフォリオ」でサッと確認しているだけですので、ほとんど手間はかかっていません。

  • ロイター、ブルームバーグ、シーキングアルファの記事を適用に読む
  • ポートフォリオのセクター比率の確認(買うセクターをピックアップ)
  • PER(買い時を探る)
  • 52週の高値からの下落率(買い時を探る)
  • 前年の配当金からの増減(減配しているかしてないかの確認)
  • 損益(%、配当込)

もし、売るケースを考える投資スタイルでも指標として何をウォッチして、その指標が○○になったら、チェックするという感じにすれば、手間はかからないと思います。手間がかかるなら、手間をかけない方法を探せばいいということです。

全配当金に占める1銘柄の配当金の比率

最終的に配当金で生活したいと考えると、10銘柄は少し怖いと考えています。例えば、10銘柄均等保有した場合、全配当金に占める1銘柄の配当金の比率が20%くらいを占める可能性は十分あります。

万が一、その20%を占めている銘柄の配当金が0になった場合、得られる配当金が20%も減少してしまうためです。給料が20%減額と言われたら、大変だ!となると思いますが、それと同じです。評価額がマイナスはさほど気になりませんが、配当金の減額には怖さを覚えます。

そのため、最終的に配当金で生活を成立させるために、保有銘柄数だけでなく、全配当金に占める1銘柄の配当金の比率も考慮する必要があります。

ここからはリスク許容度に応じた決めの話だと思います。
わたし自身のリスク許容度から配当金が5%減るのは許容できますが、10%はつらいと感じます。そのため、わたしは全配当金に占める1銘柄の配当金の割合を最終的には5%以下にしたいと考えています。

すべての銘柄が均等に配当金を出すとすると20銘柄となりますが、実際にはそうはなりません。アルトリア(MO)のように高配当で高増配のような銘柄があるためです。

それを踏まえ、わたしはざっくりその20銘柄の2倍の40銘柄はほしいなぁといった感じでいます。銘柄確認の手間はほとんどかからないので、40銘柄以上でもいいと考えています。

注意としては分散すればするほど、配当金のリターンも少なくなる可能性があるということです。

わたしが現在40銘柄を目安にしている理由の考え方をまとめると、以下となります。

  • 売らない方針の場合、手間を考慮しても保有銘柄数の上限を設定する必要はない
  • 最低でも10銘柄は保有した方がいい
  • 1銘柄が配当をストップしても問題ないと思えるラインを設定(リスク許容度の把握)
    • 例えば、突然5%の配当が減っても問題ないなら 100%÷5% = 20銘柄
  • 配当金は銘柄ごとにばらつくので、上記の銘柄数の倍に設定
    • 例えば、20銘柄 × 2 = 40銘柄
  • 上記の方針で行くと、増配率の低減などによるリターンの低減の可能性がある(リスク許容度とリターンの大きさとのバランスを考え、自分なりの回答)

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