てくです。
以前、株式投資では株主還元のうち自社株買について、同じ発行株数(10億株)、純利益($10億)、当期純利益伸び率(0%)、PER(15%)、配当性向(50%)の条件下において、自社株買いをまったくしない場合と純利益の20%を自社株買いする場合に株価、EPS、配当にどのような影響を与えるか考えてみました。
今回は同じ自社株買いを行う場合にPERがEPS、株価、配当にどのような影響を与えるかを考えてみたいと思います。
前提
自社株買いする場合のPERの違いによる効果の違いを見るために前提を以下のように設定します。簡単に言うと、純利益は一定で、配当性向、自社株買いが一定という条件ですね。
初年度の発行株数 | 1,000,000,000株 自社株買いする場合、毎年減少する |
---|---|
初年度の純利益 | $1,000,000,000 |
当期純利益伸び率 | 0%で一定 |
配当性向 | 50% |
自社株買い | 20% |
変化させる条件
変化する条件は以下のとおりです(自社株買いのPERの違いの効果を確認するためなので当たり前ですが)。
- PER
今回検証するのはPERが15倍の時に自社株買いをする場合(パターン1)とPERが20倍の時に自社株買いをする場合(パターン2)を比較します。
パターン | PER |
---|---|
パターン1 | 15倍 |
パターン2 | 20倍 |
[tab_box_check_orange]上記を前提にしたときのPER15倍の場合、株価は$15.0、配当利回り3.33%になります。一方、PER20倍の場合、株価は$20.0、配当利回りは2.50%になります。
最初から配当利回りはPER15倍の方が33%高い状態です。
EPSはどちらも$1.00になります。[/tab_box_check_orange]
EPS増加効果
以下のグラフはPERが15倍の場合と20倍の場合の発行株数の推移をグラフ化したものです。初年の発行株数を100%として計算しています。
PERが15倍の時の方が割安の時に自社株買いできるので、減少するペースは早いです。50年後には発行株式数が初年度比で約10%も差が出ることになります。
純利益が同じで、発行株数の減り方が違うのですから、当然EPSの推移も違ってきます。以下のグラフはPER15倍の場合と20倍の場合のEPSの増加の推移をグラフ化したものです。初年のEPSを100%として計算しています。
当然株式数が減少している訳ですから、EPSは増加します。50年後にはPER15倍の場合のEPSは1.93倍になりますが、PER20倍の場合のEPSは1.64倍程度にとどまります。50年後の両者の差は18%にも広がります。
株価上昇効果
PERが15倍と20倍とそれぞれ一定なので、EPSの増加と同じ形で株価は上昇します。
純利益が変わらず、PERが違うだけで、株価の上昇も大きく違ってくることが分かると思います。
増配効果
配当利回りはPERが15倍では3.33%で、PERが20倍の時は2.5%でずっと変わりません。しかし、自社株買いをするので、発行株式数が減り、配当は増えていきます。より割安の時に自社株買いができるPERが15倍の時の方が配当はより増えることになります。増加の仕方はEPSと同じ形になります。
初年が1株$0.5だった配当は、PER15倍の場合は50年後には$0.97(1.94倍)に増加するのに対して、PER20倍の場合は$0.82(1.64倍)にしかなりません。
つまりは、50年後には約18%も配当が違ってくることになります。
変化しないもの
配当利回り、企業が配当に支払う金額は変化がありません。
まとめ
自社株買いする企業でもPERが15倍、20倍の時に実施できるかによって以下のように効果の度合いが違ってきます。
- そもそも配当利回りはPER15倍の方がPER20倍より33%高い
- EPSはPER15倍の方がPER20倍より18%高い
- 株価はPER15倍の方がPER20倍より18%高い
- 配当はPER15倍の方がPER20倍より18%高い
個人的には18%も高いと思いますが、人によっては50年後で18%ぽっちかと思う人もいるかと思いますが、受け取り方次第ですね。
今回は自社株買いをする場合、PERが15倍と20倍とでの効果の違いをシミュレーションしました。PERは企業がコントロールしにくいところなのであくまでPERが低いときの方が効果が高いということを理解でいいかと思います。
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