過去160年のリセッションの振り返りと配当再投資戦略から言えること

てくです。

過去のアメリカのリセッションについてちょっと調べてみました。

リセッションのデータ

リセッションのデータは以下のものを利用しています。

FREDによるリセッションの期間データ

S&P500指数のデータは以下のものを利用しています。

S&P 500 Historical Prices by Month

リセッションの発生頻度と期間

ここではリセッションの発生頻度と期間についてみていきたいと思います。

上述したリセッションのデータで最も古いリセッションは1857年06月から1858年12月です。そしてリセッションの回数は33回ありました。つまり161年の間に33回、つまり約5年に1回リセッションが起きている計算になります。

意外と発生頻度が高いように感じますね。

これ以降はS&P500指数で最も古いデータ1871年01月からのデータで見ていきたいと思います。145年分のデータということです。1871年01月からだとリセッションは29回なので4回分のリセッション分を除いています。

リセッションの発生回数(25年単位)

約5年に1回リセッションが起きていたとしても期間が145年あるわけですから、大昔の傾向と最近の傾向の違いがあるかもしれません。そこで、1871年から25年単位で何回リセッションが発生したか見てみましょう。

1920年までは6~7回(発生確率24%~28%)、1921年から1995年は4~5回(発生確率16%~20%)、直近は2回(発生確率8%)という感じで発生確率は落ちていると言えます。直近は2020年までになっているので、もし2020年までに1回発生し、1996年-2020年の回数が3回となったとしても発生確率は12%となります。発生確率が落ちているという傾向は変わりません。

長期投資の配当再投資戦略の視点で見たときに、25年間で多くて3回しかないリセッション(年12%の確率で発生)待ちをして資金の投入にタイミングを見計らうのは妥当ではなく、機会損失の方が大きいと考えています。

10年単位で見たときリセッションの期間の割合

10年単位でリセッションにあたる期間(月数)がどの程度占めている割合を見てみましょう。

こうしてみると1940年を境に大きくリセッション期間が短くなっていることが分かります。1870年から1939年までは40~50%(平均46%)くらいを推移していますが、1940年以降はおおよそ10~20%くらい(平均17%)と大きく異なります。

1940年を境にリセッションの期間は63%ほど短くなっています。

リセッションの期間が短くなったのは1930年代に銀行と証券を分離したりする金融規制の体系ができたことによるのかなぁと思いますが、よくわかりません。知っている方いれば教えてくださいまし。

1940年以降では10年で平均17%がリセッションの期間、および直近の2010年から現時点の9年間ではリセッション期間は0か月です。長期投資の配当再投資戦略の視点で見たときに、購入タイミングをリセッションの期間を狙うのは期間損失が大きいと考えます。

リセッションとS&P500指数

リセッションとS&P500指数の関係を見てみます。

個々のリセッションの期間の騰落率は平均 -23.12%です。騰落率の計算はリセッション期間の始めと終わりで計算していません。リセッション期間の高値とリセッション期間の安値から計算しています。リセッション期間の始めと終わりで計算するとリセッションの終わりはたいがい上昇しており騰落率はかなり低くでるためです。

ちなみに29回のリセッションで-20%以上の騰落率だったかどうかで見てみると以下のとおりの結果となります。

 リセッションの回数
-20%以上の騰落率12回
-20%未満の騰落率17回

20%以上下落しているリセッションは41%しかありません。リセッションだからといって20%以上下落することは少ないんですね。

長期投資の配当再投資戦略の視点で見たときに、リセッションで-20%の騰落率になるのは41%ということから、リセッションを恐れる必要はないと考えます。

リセッションの期間と下落率の関係

リセッションの期間と下落率の関係を散布図で表してみました。

騰落率を見ると-81%、-49%、-42%、-39%と大きいリセッションはあります。

相関はありそうですね。相関係数は0.56です。0.56なので、一般的にはリセッションの期間と下落率には「やや相関あり」ということができます。

まとめ

リセッションの発生頻度、期間、騰落率についてまとめると以下です。

  • 超長期で見たとき約5年に1回リセッションが起きている
    • 最近は発生頻度は落ちてきており、5年で0.6回である
  • 1940年を境にリセッションの期間は63%ほど短くなっている
    • 最近は平均すると16.90%がリセッションの期間(10年換算すると10年で20か月(1年と8か月)がリセッション期間)
  • 20%以上下落しているリセッションは41%しかない
  • リセッションの期間と下落率には「やや相関あり」
  • 騰落率を見ると-81%、-49%、-42%、-39%と大きいリセッションがある

上記を長期投資の配当再投資戦略の視点からまとめると以下です。

  • 年12%の確率で発生するリセッションを待って資金の投入にタイミングを見計らうのは妥当ではなく、機会損失の方が大きい
  • 120か月のうち20か月しかないリセッションの時期だけ資金の投入しようと考えるのは妥当ではなく、機会損失が大きい
  • リセッションで-20%の騰落率になるのは41%ということから、リセッションを恐れる必要はない
    • ただし、たまにとんでもない騰落率のリセッションがあるが、気にしてもしょうがない

上述したグラフの元となった集計結果

期間リセッション発生回数
1871年-1895年6回
1896年-1920年7回
1921年-1945年5回
1946年-1970年5回
1971年-1995年4回
1996年-2020年2回
期間リセッションの期間(月)リセッション比率
1870年1月-1879年12月6655.00%
1880年1月-1889年12月5344.17%
1890年1月-1899年12月5545.83%
1900年1月-1909年12月5041.67%
1910年1月-1919年12月5747.50%
1920年1月-1929年12月5344.17%
1930年1月-1939年12月5344.17%
1940年1月-1949年12月2117.50%
1950年1月-1959年12月2016.67%
1960年1月-1969年12月1210.00%
1970年1月-1979年12月2823.33%
1980年1月-1989年12月2420.00%
1990年1月-1999年12月97.50%
2000年1月-2009年12月2823.33%
2010年1月-2019年12月00.00%
リセッション開始リセッション終了リセッション期間(月)リセッション期間中の高値リセッション期間中の安値騰落率
1873/10/011879/03/0165111.7268.19-38.96%
1882/03/011885/05/0138154.95127.02-18.03%
1887/03/011888/04/0113183.81154.63-15.88%
1890/07/011891/05/0110181.1146.76-18.96%
1893/01/011894/06/0117178.98145.71-18.59%
1895/12/011897/06/0118174.09152.91-12.17%
1899/06/011900/12/0118227.53187.41-17.63%
1902/09/011904/08/0123272.68192.88-29.27%
1907/05/011908/06/0113223.6176.2-21.20%
1910/01/011912/01/0124278.54219.96-21.03%
1913/01/011914/12/0123239.18183.41-23.32%
1918/08/011919/03/017124.79119.91-3.91%
1920/01/011921/07/0118115.3188.47-23.28%
1923/05/011924/07/0114133.09116.99-12.10%
1926/10/011927/11/0113248.54186.45-24.98%
1929/08/011933/03/014345688.4-80.61%
1937/05/011938/06/0113290.97175.54-39.67%
1945/02/011945/10/018229.76197.24-14.15%
1948/11/011949/10/0111168.98147.32-12.82%
1953/07/011954/05/0110269.18218.03-19.00%
1957/08/011958/04/018408.25357.91-12.33%
1960/04/011961/02/0110525.81454.43-13.58%
1969/12/011970/11/0111609.1489.34-19.66%
1973/11/011975/03/0116560.08325.71-41.85%
1980/01/011980/07/016368.31320.49-12.98%
1981/07/011982/11/0116355.22282.8-20.39%
1990/07/011991/03/018695.87579.82-16.68%
2001/03/012001/11/0181801.811476.66-18.05%
2007/12/012009/06/01181775.03897.12-49.46%

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